誰かが誰かに復讐する|別ればなし TOKYO 2020. LiLy(リリイ)

別ればなし TOKYO 2020. LiLy(リリイ) 小説

「別ればなし TOKYO 2020.」50代男性へのおすすめ度

★☆☆☆☆ ← 50代男性にはチャレンジが必要

あらすじ

内容紹介(「BOOK」データベースより)
誰かを好きになった時だけだよ、体の中の心の位置を掴めるのは(「Who are you.」)。
過去最大に炎上している地獄のようなリプライ欄。キリはスマホを伏せて、サイとのキスをまた思い返す(「Pandemic.」)。
緊急事態宣言が発令されて、2週間が経った(「Confusion.」)。
女って、なんなんだ。すぐに愛が欲しいと叫び出す究極のエゴイスト(「BREAK!」)。
これは恋なのか。それとも執着なのだろうか。まだ傷つき足りないのだろうか。それとも傷つきすぎて、このままでは後に引けないのだろうか(「Hurt Me More.」)
-マスクをおろして、キスをする。コロナ禍、猛スピードで変わる世界。最新恋愛小説。

著者情報(「BOOK」データベースより)
LiLy(LILY)
作家。1981年横浜生まれ。N.Y.、フロリダでの海外生活後、上智大学卒。音楽ライターを経て2006年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

キーワード

Twitter、LINE、セックス、新宿、渋谷

感想

50代のおっさん向けに書かれた小説ではない

LiLyさんの小説を読んだのは、この「別ればなし TOKYO 2020.」で2冊目。

初めて読んだ「BAD SAX」が50代のおっさん好みの官能小説でとても良かった。

BAD SEX LiLy

なので「別ればなし TOKYO 2020.」も期待していたのですが、50代のおっさんにはつまらなかった。

まあ、50代のおっさん向けに書かれた小説ではないので、当然のことなのでしょうけど。

「別ればなし TOKYO 2020.」の必要性が読了してもわからなかった

「別ればなし TOKYO 2020.」は、コロナ禍にほんろうされた24歳の男女の恋愛小説というテイで書かれているのだと思うのですが、コロナを抜きにしても、こんな若者はいるんだろうかと思った。

最近の20代前半の男女は、こんなつまらない恋愛をするのかと、正直戸惑った。

50代のおっさんからすると、すべてが中途半端な世界と感じました。

参考になったのは、TwitterとLINEを使いこなせないと、いまの若者は恋愛(生活)すらできないということ。

常に何かを発信(情報発信)していないと、いまの若者は抜け殻になってしまうのかもしれないと、感じた小説でした。

私が気に入った文章

体の中の心の位置を掴めるのは

痛みを感じるところに、心がある。肺でも、胃でもなく、ココが痛む。
「心の場所が、よくわかるよ」
独り言のように、目を閉じたままキリは続ける。
「誰かを好きになった時だけだよ、体の中の心の位置を掴めるのは」(35ページ)

確かに。

私は、最近胸がキュンとなっていないから、体の中の心の位置を忘れてしまっています。

胸をギュッと掴まれる、ドキドキすることすらなくなっている自分が悲しいです。

そこに新たな魂を吹き込める才能は、素敵だよ

「羨ましいな。自分でそう言い切れることも。自分の言葉を発して生きることが許されていることも。オレは、他人が生み出した言葉を暗記する日々だから」
「他人が生み出した言葉を自分のものにして、そこに新たな魂を吹き込める才能は、素敵だよ」(36ページ)

前者が俳優志望の24歳男の言葉で、後者がTwitterで詩を発信している24歳女の言葉です。

つまり、主人公の男女の言葉です。

俳優の演技の才能についてこんな風に(「他人が生み出した言葉を自分のものにして、そこに新たな魂を吹き込める才能」と)表現している文章にふれたのははじめてです。

すごくいいです。素敵な表現だなと感じ入りました。

「可愛い」と言われたがりすぎ

そもそも、カミラはアイドルという存在が苦手だった。不特定多数の人間から、もっと言えばモテなそうな人種の異性から、あまりにも「可愛い」と言われたがりすぎていて、カミラにはその心理がまず理解できない。眼中に入らぬ異性に褒められても、自分は全く嬉しくないからだ。客に容姿を褒められた程度で心から喜ぶホステスなど、いない気がする。(179ページ)

この文章は、超絶美人のホステスさんの考え(心の声)です。

モテまくっているだろう超絶美人のホステスさん、だからこその考えだと思いました。

このホステスさんにはアイドルなんて必要ないのです。

推し活なんてこともしないし、無縁なのだと思います。

そりゃそうですよ、モテモテで、ちやほやされまくっているわけだから。

超絶美人のホステスさんは、自分第一、他人のことなんて眼中にない人なんです。

超絶美人のホステスさんは最後に「いない気がする」と言っていますが、私はいる気がします。

世の中、いろんな人がいるもんです。

最後に

最初に読んだ小説「BAD SEX」の感想に「いろいろな意味で私とLiLyさんは相性がいいのではないかと、思ったりしました」と書いたのですが、今回「別ればなし TOKYO 2020.」を読んでちょっと微妙な感じになりました。

まあ、50代のおっさんは「別ればなし TOKYO 2020.」のターゲット(読者層)から外れているのだから仕方ないのだと思います。

しばらく間をおいてから、別の作品を読んでみたいと思います。

リリイさんを嫌いになったわけではないから。

今回は、50代男性にはチャレンジが必要な「別ればなし TOKYO 2020.」を紹介しました。

本書以外にも「LiLy(リリイ)さんの小説」を紹介しています。
下記の画像をクリックして、併せて読んでみてください。

【LiLy(リリイ)さんの小説】

BAD SEX LiLy

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