「6カ国転校生 ナージャの発見」50代男性へのおすすめ度
★★☆☆☆ ← 好奇心旺盛な50代男性向け
あらすじ
内容紹介(「BOOK」データベースより)
6つの国4つの言葉で学ぶとどうなるか? ソ連(当時)に生まれ、両親の転勤で世界6カ国(ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ)の地元校で教育を受けた著者ナージャが、それぞれの国での体験&発見を紹介。
机の並べ方、筆記用具、テスト、ランチ…世界の教室はこんなに違った!
正解はない、違いがあるだけ。「ふつう」がひっくり返り、世界の見え方が変わる本です。
キーワード
転校生、学校生活、小学校、中学校、人見知り
感想
実生活で役立ちそうなことは書いてないけど
実生活で役立ちそうなことは書いてなかったです。
おおむね、ナージャさんの通っていた学校、他の国の学校ではこういう「ふつう」がありましたを紹介する本でした。
なので、「フーン、そうなんだ」ということしか感じませんでした。
本書には「教育のし方なんかも国によってこんな違いがあるんですよ」ということが書かれています。
(「違いがあるだけ」と言いながら、日本のここがダメみたいなことが書かれていましたので、その部分は後述しておきました。)
例えば、国によって授業の進め方や生徒への接し方が違うという事実があります。
小中学校の教員であれば「この国のやり方を自分の授業に取り入れてみようか」と思うのかも知れませんが、今の私にはそういうことはできないので、この国ではそうなんだ程度の感想しかなかったです。
ひとつ思ったのは、学校のありようというのは国ごとに違う、だけどそれ以上に、入学した学校によってもかなり違いがありそうということでした。
いずれにしても、国ごとに学校のありようは違うので、「この国の学校ではこれが『ふつう』なんだよ」のようなウンチク話のネタにすることはできると思います。
なお本書は、自分は人見知りだという人に読んでもらいたい本でした。
ロシアの長い夏休み
104・105ページにロシアの夏休みについての記述があります。
ロシアでは、大人も子供も長い夏休みを取る人が多く、他にも季節ごとに休みがあるそうです。
おかげでオンオフのメリハリを学び、身に着けることができるから、ロシア人は「休みが長くても学力の低下がない」らしいです。
「ちょっと羨ましいでしょう」的な感じで書かれています。
これは、日本のワークライフバランスのヒントにもつながると感じる。(105ページ)
「うーん」
私はこの一文を読んで唸ってしまいました。
ウクライナに侵攻して世界中に迷惑をかけている国の慣習に素直に従う気にはなれないな!
そんなに休みがあるなら、他国と仲良くすることを学べよ!
というのが、今の私の気持ちです。
ワークライフバランスと他国への侵攻では比較にならないけど、優秀なロシア人にはぜひ協調性のある行動をお願いしたいです。
作者自身、別のページで次のように言っています。
すべてには、いろんな見方があって絶対的な答えなどない。
でも国家などによって決められたルールがある。
その集団にいる限りそれが善し悪しを決め、人の行動はそれによって判断される。
今から思うとなんだか、とても示唆に富んだ内容だった。(109ページ)
ナージャさんから見たら、「日本のワークライフバランスは悪い」のでしょう。
「日本は休みが短く、メリハリがない」ということになるのでしょう。
でもそれが、その国にとっては「ふつう」なのかもしれません。
日本はロシアと違って天然資源がないので、短い休みでせっせと働いて外貨を稼がないといけません。
その国にとっては「ふつう」なのだから、俯瞰する程度の批判でもいいのではないかと私は思っています。
カナダの中学校
今から振り返ってみると、ほとんどすべてのちょっと変わった科目に共通することは、そこには教科書もなければ、やり方も答えもない。それを編み出すのが先生ではなく生徒の役目。
~ 中略 ~
まるで日本の大学のようなことがカナダでは中学校から訓練されている。(111ページ)
ここでも他国と日本との違いが提示されています。
いろんな国で学んだからこそ感じられることなのでしょうけど、私としては、他国と日本をこんなに比較してくれなくて良かったのです。
私は、ある国の「ふつう」を知りたかっただけでした(日本や他の国から見るとそれは「違い」ということになります)。
私に「日本はこんなにダメなんですよ」なんてことは、教えてくれなくて良かったのです。
6カ国転校生の発見を知りたかっただけで、6カ国転校生の提案は必要ありません。
人見知りさんが読むといいのかも
ナージャさんは人見知りなのだそうです。
転校するたびに「ふつう」が変わるので、人見知りさんは余計に大変だったと言っています。
絶対的な「ふつう」がないんだとしたら、自分の「ふつう」って何だろう?
(116ページ)
(上記の引用は、116ページの冒頭です。116ページ全文が本書のキモだと思います。)
必要に迫られて、人見知りの克服方法を自分で編み出した(発見した)そうです。
このことが、本書の後半に体験談風に書かれています。
私は人見知りではないので、あまり理解できませんでしたが、本書を人見知りさんが読んだら、良い参考になるかも知れません。
先生のひと言
本書には、先生達からもらったヒントの言葉を紹介している章があります。
その中で、私が最もいいいなと思ったのが次の言葉でした。
カナダのウッドワーク(木工技術)の先生は、こう言ってくれた。
「実現できないと夢で終わり、すぐに叶う夢だと成長がない。ギリギリのバランスをいかに狙うかが、成功するためにはいちばん重要だ」(137ページ)
当たり前だけど、転校した回数が多ければ、その分たくさんの先生の授業を受けられたわけです。
これは、かなり貴重な体験だと思います。
子供の頃に、いろんな国の大人の意見・考えをきけたわけですから。
きっと、いろんな発見があったんだろうと思います。
この点については、とても羨ましいです。
今回は、好奇心旺盛な50代男性向けの「6カ国転校生 ナージャの発見」を紹介しました。
イギリスの中学校生活について書かれた「ブレイディみかこさんのエッセイ」を、このブログで紹介しています。
外国の学校について興味のある方はぜひ、下記の画像をクリックして、読んでみてください。
【ブレイディみかこさんのエッセイ】