親ガチャを嘆く若者に読んでほしい「ひと」小野寺史宜

ひと 小野寺史宜 小説

「ひと」50代男性へのおすすめ度

★☆☆☆☆ ← 50代男性には物足りない

あらすじ

内容紹介(「BOOK」データベースより)
女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。
僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。
大学は中退を選び、就職先のあてもない。
そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。
本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。

キーワード

揚げ物、料理人、鶏料理、苗字が変わった人がたくさん出てくる、名前の漢字の説明が面白い

感想

小野寺史宜さんの小説を読んだのは、この「ひと」が2作品目。

なぜ本屋大賞第二位に選ばれ、ベストセラーになったのかが分からない小説でした。

はじめて読んだ「ミニシアターの六人」がとても面白かったので、次も読んでみたいとなり、
「ひと」を読んだのですが、期待外れで残念でした。

ミニシアターの六人 小野寺史宜

両親がいない二十歳の男の物語にしては、サラッとしすぎている。

今は、サラッとした読みごたえの小説でないと売れないのか?

あるいは、重い内容の小説は読者に理解してもらえないのか?

この「ひと」という小説を読んで、今後の小説界が心配になりました。

いずれにしても、 現代人の読書スキルが落ちている可能性が高いのだろうと考えます。

次に、ちょっと視点を変えて、想像を加えた感想をいくつか書いてみました。

50代男性としての感想

自分たち世代・50代をターゲットにした小説ではないため仕方ないのですが、
ストーリーに物足りなさを感じました。

「両親が亡くなり天涯孤独となった二十歳の男が、
元学友や職場の同僚に支えられ社会人として成長していく物語。 」

というとカッコいいけど、50代男性からすると物足りなくチープです。

ストーリーが軽すぎて、のめりこめないためです。

一人称で書かれた小説で、語り手の主人公が二十歳の男であることが、
50代の自分に物足りなさを感じさせた要因だと感じています。

主人公の頼りなさに、50代が読むと軽さを感じてしまうのだと思います。

仕事をバリバリこなしている50代男性の共感は得られないでしょう。

50代男性であり子の親としての感想

自分の子供が主人公のように天涯孤独とならないように、
自分の健康やお金の管理を今以上にしっかりやろうと思う人がいるかもしれない。

「ひと」を読んでこのように考える50代男性がいたとしたら、
とてもいいことだなと思いました。

今の若者の状況を想像しての感想

二十歳で天涯孤独になり、生きづらさを感じている人の視点を想像してみると、
この「ひと」という小説は、今の若者たちに共感できる部分が多い小説なのかもしれません。

昨今、「親ガチャ」という言葉が使われるようになっています。

生まれ落ちた境遇にさいなまれて、
努力の方向性を見失っている若者が増えているように感じています。

「ひと」が2019年本屋大賞第二位に選ばれ、ベストセラーとなったのは、
そんな若者たちの心を捉え、共感を生んだからなのかもしれないと想像しました。

「ひと」は、読みやすい文章ですぐ読み終わります。

50代男性が読んでも得るものは少ないと思いますが、
「現代の若者の感覚を垣間見られる小説ではあるのかな」と考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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