「光まで5分」50代男性へのおすすめ度
★★★☆☆ ← 50代男性が読むと新しい発見があるはず
あらすじ
内容紹介(「BOOK」データベースより)
北海道の東の街から流れ流れて沖縄にやってきたツキヨは、那覇の路地裏にある「竜宮城」という店で体を売っていた。奥歯の痛みがきっかけで知り合った元歯科医の万次郎、その同居人のヒロキと意気投合し、タトゥーハウス「暗い日曜日」に転がり込んだツキヨに、ふたりを知るらしい南原という男が接触してきてー。直木賞作家が沖縄を舞台に描く挑戦作!!
キーワード
沖縄県、那覇、奥武島(おうじま)、ネコ、ヒロキに気に入られると早死にする
感想
ちょっとエッチの描写がキツイけど、面白いから読んでみて。
桜木紫乃さんの小説を読むのは、この「光まで5分」で3冊目です。
・1作目:ホテルローヤル
・2作目:裸の華
3冊とも主人公は女性で北海道出身です。
「光まで5分」は、まともな生活・仕事をしていない登場人物ばかりの小説なので、
ストーリーは暗めです。
ハッピーエンドでもありません。
主人公が最後に行きつく場所は
「やっぱり、こういうところなんだな」というのが感想です。
小説の舞台は沖縄。
那覇の国際通りと奥武島(おうじま)です。
那覇の国際通りの小径にある店で働く女性主人公の「ツキヨ」は、
男性に体を売る仕事をしています。
ツキヨは、歯が痛くてたまらないのですが、
健康保険証がないので 闇医者を紹介してもらいます。
そこで出会うのが、後に共同生活を送る「浦島太郎」と「ヒロキ」です。
当然、二人とも訳ありです。
ホントにこんな境遇で育った女の子いるのかなという主人公と、
声や容姿は魅力的だけど生活力のない男二人との共同生活が、
暗く、重く、暴力的な展開をみせ始めます。
それが国際通りでのストーリー。
舞台が奥武島(おうじま)に移ってからは、
多少明るめな情景が描かれるものの、ストーリーはやはり暗く、重く、暴力的です。
この「暗く、重く、暴力的」なストーリーは、
これまで読んだ桜木紫乃さんの3作品に共通する部分なので、私は経験済みですが、
はじめて桜木紫乃さんの小説を読む人はハードに感じるかもしれません。
「私はこんなハッピーエンドでも何でもない、暗く、重く、暴力的な小説は読みたくない」
という人は、この「光まで5分」は読まなくていいと思います。
ですが、
ラストの 「何とか自分のできることを続けて寿命まで生き抜いてやろう」という
女主人公の覚悟には、「すげえな」と思うと同時に、勇気をもらえます。
こんど沖縄に行ったら、国際通りを探検してみようと思います。
桜木紫乃が書く小説の魅力・特徴
これまで桜木紫乃さんの小説は3作品読んだので、
ここで「桜木紫乃小説の魅力や特徴」をまとめてみたいと思います。
・1作目:「ホテルローヤル」
・2作目:「裸の華」
・3作目:「光まで5分」このページで紹介しています。
3作品読んでわかった「桜木紫乃小説の魅力」
桜木紫乃小説の魅力は、次の3点です。
小説を読み終わった後に、
- 「気持ちの後押し」をもらえる。
- 「いまはダメかもしれないけど、もう少し続けてみようか」と思わせてくれる。
- 「自分もできることを続けて頑張って生きていこう」と勇気をもらえる。
桜木紫乃小説の特徴
桜木紫乃小説の特徴は、 登場人物たちが決まって「暗い過去のある人」たちであるということ。
暗い過去がありながら「気持ちがすさんでいない」のが最大の特徴です。
「何とか自分のできることを続けて寿命まで生き抜いてやろう」という、
ド根性のある登場人物(特に主人公)がほとんど。
読者である私たちは、その登場人物の姿勢から元気・やる気をもらえます。
これまで読んだ3作品は、苦しい生活に密着したストーリー。
「いまの生活で精一杯。こうなりたいなんて夢はない人たち。」が登場します。
社会であまり日の当たらない仕事をしている人たち、
恵まれない環境で育った登場人物がほとんど。
でも、 登場人物たちが頑張る姿に勇気をもらえます。
つらいことがあるのに前を向いて生活する登場人物たちの姿をみていると、
努力を重ねて日々の生活を送ることの大切さに気付きます。
そして、 努力を重なる登場人物たちを、だんだんと好きになっていきます
金持ちになりたいとか、贅沢な暮らしをしてみたいと考えていた
10代、20代の頃に桜木紫乃さんの小説を読んでも登場人物たちの魅力がわからないので、
彼らを好きにならなかったと思います。
派手な生活に憧れていた自分が、
泥臭い生活をしている登場人物たちを好きになるなんて、思ってもいませんでした。
「年齢を重ねないと気付かないこと」ってあるんですね。
読者に勇気を与えてくれる登場人物との新しい出会いを期待して、
4作品目となる桜木紫乃小説も読みたいなと思います。
今回は以上です。
このブログが少しでもお役に立ちましたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。