石像とのSEXや駆落ちに興味がある人に|休館日の彼女たち 八木詠美

休館日の彼女たち 八木詠美 小説

今回は、八木詠美さんの小説「休館日の彼女たち」をご紹介します。

八木詠美さんの小説を読むのは「休館日の彼女たち」がはじめて。

残念なことに「休館日の彼女たち」はつまらない小説でした。

ここのところ、「あらゆる薔薇のために」や「名探偵のままでいて」のように、つまらない小説の紹介が続いてしまい申し訳ないです。

「休館日の彼女たち」は雑誌の新刊紹介に掲載されていて、今話題の作家さんであることと、興味をそそられるタイトルに惹かれて手に取りました。

結果的に、新刊の紹介文に「上手くはめられてしまった」感じです。

「休館日の彼女たち」も50代のおっさんは読まなくていいと思います。

このブログがその参考になりましたら幸いです。

「休館日の彼女たち」50代男性へのおすすめ度

★★☆☆☆ ← 50代男性には文章もストーリーも読みにくい本だと思います

あらすじ

内容紹介(「BOOK」データベースより)
算数で「平行」を習ったときから、ひとには見えない黄色いレインコートに身をつつむことになったホラウチリカ。
ある日、大学の恩師から紹介された仕事は古代ローマの女神像のおしゃべり相手だったー。
誰もがコミュニケーション不全を抱える世界で、有機物と無機物の境界すら越えて、わたしとヴィーナスは手に手を取り合い駆け出していく。
新しい関係性の扉をひらく無敵のシスターフッド小説!!

著者情報(「BOOK」データベースより)
八木詠美(ヤギエミ)
1988年長野県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。
2020年、「空芯手帳」で第36回太宰治賞を受賞。
同作は現在世界14カ国語で翻訳が進行しており、2022年8月に刊行された英語版は発売まもなく増刷し、ニューヨーク・タイムズの今年の収穫に取り上げられるなど話題となった。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

感想 文章がメチャクチャ読みにくい

はじめ、下手な翻訳本と勘違いして読み始めました。

文章はメチャクチャ読みにくいし、主人公の名前はカタカナで(どこで区切って読めばいいのか分からない)外国人の名前なんだと思い込んでしまいました。

読み始めて5ページくらい進んだところで、「ああなんだ、日本人作家の小説なんだ」と気づきました。

小説のタイトルと装丁、スラスラ読めない文章から、翻訳本と思い込んでしまっていたのです。

この点は反省しています。すみません。

この小説もそうですが、「最近の小説は登場人物の名前が、カタカナか珍しい漢字のどちらかになっている」のはどうしてなのでしょう。

私は普通が読みやすくて好きなのですが。

石像とSEXしてみたい女性におすすめ

何だか良く分からないんですよね。この小説。

一言でいうと「ラテン語を話せる女性と、活発な頭脳を持つヴィーナス像の不思議な関係」となるのでしょうか(我ながら陳腐な表現で恥ずかしいです)。

ラテン語を話すヴィーナス像がいるだけでファンタジー小説なのに、そのヴィーナス像と主人公がセックスしちゃうんですよね。

こんな小説を理解できる50代のおっさんっているんでしょうか。

「いないんじゃないの」というのが正直な感想です。

50代のおっさんは読まなくていいと言いましたが、二人がどんなセックスをするのか気になる人は、ぜひ読んでみてください。

どうしてラテン語が話せるの?

話し相手がほしいヴィーナス像はラテン語しか話せません。

日本人の主人公はラテン語を話します。

そのため、主人公はヴィーナス像の話し相手として博物館に雇われます。

「主人公がどうしてラテン語を話せるようになったのか」については、本書の31ページに説明があります。

簡単に説明すると留学したからです。

ここで面白いなと思ったのは、ヴィーナス像が主人公にした次の質問です。

ひょっとしてご家族がバチカンの司祭とか?(31ページ)

「なんでバチカンなんだろう?」と気になってネットで検索してみたら、ラテン語はバチカンの公用語であることがわかりました。

公用語はラテン語であり公式文書に用いられる。
ただし、通常の業務においてはイタリア語が話されている。
また、外交用語としてフランス語が用いられている。
警護に当たるスイス人衛兵たちの共通語はドイツ語である。
この他、日常業務ではスペイン語・ポルトガル語・英語も常用されている。
(ウィキペディア バチカン より)

残念ながら、会話には用いられていないようです。

小説を読んでいて自分の知らないことを発見して、新たな知識を増やせるのは楽しいですよね。

何で知っているんだろう?

思い出が二千年分あるヴィーナス像のセリフです。

「今なら・・・そうね、動画でも配信してみようかしら。(中略)動画を編集できる指があれば」(97ページ)

そごいよな。

動画配信とか編集とかって、今流行りのことをどうやって知ったのだろう?

ラテン語しか話せないのに。

次もヴィーナス像のセリフ。

「(中略)そんな風だから解脱できないのよ」(100ページ)

雨が降ると夜中でも読経を始める仏像への皮肉です。

それにしても、どうして「解脱」なんて言葉を知っているんだろう?

ヴィーナス像が生まれた世界にはない観念だと思うんだけど。

「動画配信」や「解脱」は、ヴィーナス像の背景(時代・故郷)とはまったく別の世界の言葉だと思うんです。

だけど、作者の八木詠美さんはそんなことお構いなしに使ってくる。

そこが私には癇に障りました。

50代のおっさんになると、このような細かいことが気になっちゃうのかもしれないです。

良く分からないことを理解しようと思うと、かったるくなってしまう。

「休館日の彼女たち」を50代のおっさんにおすすめしない一例でした。

村上春樹さん風の文章

「僕はここに住んでいるんです。この博物館に」(100ページ)

上記はラテン語を話せる登場人物、ハシバミのセリフです。

この一文を読んで私は、村上春樹さんの「海辺のカフカ」を思い出しました。

「似てる」って思ったのです。

ドキッとしました。

嫌な予感がするドキッです。

この小説で八木詠美さんが書いている文章、私は嫌いなんです。

この小説の地の文は、私にまったく合わない。

つまらないんです。

それなのに、村上春樹さんの雰囲気が出てきた。

嫌いな文章の中に、好きな作家さんに似た雰囲気の文章が混ざっているということにゾクッとしました。

嫌いな人の声がだんだん近づいてくる感覚です。

「やだなぁまったくもう」って感じです。

予感は当たりました。

118ページと119ページに、それはハッキリと現れました。

この一人称の文章は、私に村上春樹さんの「1973年のピンボール」を思い起こさせました。

何となく雰囲気が近いんです。

もう一ヶ所、133ページから135ページにかけて。

ここの文章は、私に村上春樹さんの「1Q84」を思い起こさせました。

指摘したページの文章は、明らかに他のページの文章と違って上手いんです。

読みやすい。

作者が意図してやっていることに間違いないと思います。

指摘したページ以外の文章については、物語の不可思議性を深めるためにわざと読みにくく書いている。

そのように感じました。

どこかで観たようなエピローグ

その前に、ヴィーナス像がどこで「ださい」なんて言葉を覚えたのか? と思わせる文章の紹介です。

「こっちはずっとまじめよ。(中略)まずその芝居じみた話し方、ださい。(中略)」
(143ページ)

ラテン語で「ださい」って、どんな発音なんだろう?

さて、エピローグについてですが、これはもう「どこかで観たことのあるようなシーン」(終わり方)で、ガッカリでした。

せっかく不可思議な物語であったのに、最後があんな平板な終わり方では、物足りないと感じる読者が大半であろうと思われます。

不思議ちゃんが、普通ちゃんになってどうすんの。

黄色いレインコートが可愛そう。

最後に、動画配信のことが出てきます。

これから「休館日の彼女たち」を読む方は楽しみにしてください。

やっぱり、へんな文章の摩訶不思議な物語をずっと読まされていて、最後、普通に終わっちゃうのは読者としてはちょっと納得いかないです。

しつこいですが、50代の男性は読まなくて大丈夫です。

反対に、50代男性にぜひ読んでもらいたい小説を紹介します。

下記の画像をクリックして、ぜひ併せて読んでみてください。

【50代男性にぜひ読んでもらいたい小説】

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