今回は、恩田陸さんの小説を2冊、「蜜蜂と遠雷」と「祝祭と予感」をご紹介します。
「蜜蜂と遠雷」は、直木賞と本屋大賞をダブル受賞した名著で、50代のおっさんも楽しめるおススメの一冊。
「祝祭と予感」は、「蜜蜂と遠雷」のスピンオフを収録した短編集でこちらも面白いです。
2冊続けて読むと物語の世界観が広がり、面白さが増していいですよ。
1.「蜜蜂と遠雷」50代男性へのおすすめ度
★★★★☆ ← 豊かな想像力の源になりそう
あらすじ
内容紹介(「BOOK」データベースより)
私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!著者情報(「BOOK」データベースより)
恩田陸(オンダリク)
1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。
2005年「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞と本屋大賞、06年「ユージニア」で日本推理作家協会賞、07年「中庭の出来事」で山本周五郎賞、17年「蜜蜂と遠雷」で直木三十五賞と本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
感想 恩田陸ってすげえな!
この感想は、自分の読書メモを頼りに書いています。
このブログをはじめる前、2021年2月に読了したためです。
恩田陸さんの小説を読んだのは、本書「蜜蜂と遠雷」がはじめて。
「蜜蜂と遠雷」はぶっ飛ぶほど面白くて、恩田陸ってすげえなって思った!
数年後に読み直したい。
本書に登場するピアノ曲を聴いてみたいと思った。
ピアニスト3人の数年後の活躍している姿を書いて欲しい。
最後の方は「あと数ページで終わっちゃうよ。ずっと読み続けたいよ」という気持ちで読んでいました。
恩田陸さん、素敵な小説をありがとう。
登場曲のリストがついている
コンクールで使われたり演奏された曲のリストが掲載されているおかげで、物語そのものはもちろん、読了後にクラシック音楽(ピアノ曲)を聴いて楽しむこともできました。
「蜜蜂と遠雷」は、ピアノコンクールを舞台にした長編小説です。
物語にはクラシック音楽のピアノ曲がたくさん登場します。
その曲目が、巻頭にリストとして掲載されているのです。
リストは、1)コンクールの課題曲 2)メインキャラクターの4人が演奏した曲順・曲名
に分かれています。
1)コンクールの課題曲リストには次のように書かれています。
<第一次予選>
(1)J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集より1曲。ただし、フーガが三声以上のものとする。
~ 中略 ~
*演奏時間は合計で20分を超えてはならない。
そうです。
実際のピアノコンクールのパンフレットに記載されていそうなことが書いてあるのです。
本格的なんです。
ピアノ演奏に縁のない私にはコンクールの課題曲なんてチンプンカンプンなのですが、
*演奏時間は合計で20分を超えてはならない。
というような文章をみると、「コンクールって色々な決まり事があって大変なんだな」というのがわかります。
「何分以内」というように時間を決められると臨場感がでてきて、自分もコンクールを鑑賞しているような気分になって、本文を読んでいて気持ちが高揚するのがわかりました。
そうすると今度は、「この曲ってどんな曲なのかな?」という興味が出てきます。
そこでYouTubeの登場です。
気になる曲をYouTubeで検索して聴くと「こういう曲なのか」というのがわかります。
たとえば、課題曲のリストにあるベートーヴェン、ショパン、シューマンなどのピアノ協奏曲は、簡単にYouTubeで見つかりました。
「あのシーンで彼女が奏でていた曲は、こういう曲調だったのだな」というのがわかって、YouTubeで聴きながら演奏シーンを読み返したりしました。
リストがあるおかげで、小説だけでなく、音楽も楽しむことができました。
クラシックのピアノ曲に詳しくない私でも「YouTubeで簡単に目当ての曲が見つけられ聴くことができる」とてもいい時代になりました。
ちょっと前までは、図書館に行かないとクラシックのCDは聴けなかったのに。
さて、「蜜蜂と遠雷」は、ピアノコンクールを舞台にしていますのでピアニストの競い合いが焦点です。
物語を読み進めると、コンクールで自分が応援したくなるお気に入りのキャラクターがでてきて、彼らが演奏する曲を聴いてみたくなってくる。
リストがついているおかげで、読了後に彼らが演奏した曲をYouTubeで確認・楽しむことができました。
この経験が私に大きな影響を与えました。
この後、私はクラシック音楽を気に入って、ベートーヴェン交響曲全集(ドイツで制作された輸入盤CD)を買って聴くまでになりました。
車の中で「のだめカンタービレのCD(クラシック音楽のいいとこどりCD)を聴いたりはしていた」のですが、まさかベートーヴェンの交響曲全集を買って聴くまでになるとは、自分もビックリです。
コロナ禍になって学生の頃の趣味であった読書を再開し、家に引きこもる時間が増えたのでYouTubeでクラシック音楽を聴くようにもなりました。
それらは2023年6月の今も続けています。
これも「蜜蜂と遠雷」のおかげです。
「蜜蜂と遠雷」は、私にとても良い影響を与えてくれました。
この本に出合えて良かったです。
2.「祝祭と予感」50代男性へのおすすめ度
★★★☆☆ ← 50代男性が読むと新しい発見があるはず
あらすじ
内容紹介(「BOOK」データベースより)
コンクール入賞者ツアーのはざま、亜夜とマサルとなぜか塵が二人の恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。
菱沼が課題曲「春と修羅」を作曲するきっかけとなった忘れ得ぬ教え子への追憶「袈裟と鞦韆」。
幼い塵と巨匠ホフマンの永遠のような出会い「伝説と予感」ほか全6編。
感想 どれも面白く読めた
この感想は、自分の読書メモを頼りに書いています。
このブログをはじめる前、2021年4月に読了したためです。
恩田陸さんの小説を読んだのは、本書「祝祭と予感」で3冊目。
「祝祭と予感」は、「蜜蜂と遠雷」の派生ストーリーを収録した、6編の短編小説です。
6編の短編小説は、どれも面白く読めました。
私が読んだのは単行本でした。
本書では特に「袈裟と鞦韆」(けさとしょうせん)が良かったです。
「袈裟と鞦韆」のキーワードは、岩手、ホップ、作曲。
次に気に入ったのが「鈴蘭と階段」(すずらんとかいだん)です。
「鈴蘭と階段」のキーワードは、カナデ、ヴィオラです。
恩田陸さんは、簡単な言葉使い(単語)で読者を引き込むのが上手く、読みやすいのがいいですね。
今後もどんどん恩田陸さんの小説を読んでいきたいと思います。
今回は、50代のおっさんにもぜひ読んでもらいたい、恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」と「祝祭と予感」を紹介しました。
恩田陸さんが文庫本の解説(あとがき)を書いている上橋菜穂子さんの「精霊の守り人」を紹介します。
併せて読んでみてください。
【上橋菜穂子さんの本】